独自のキャリアパス設計を本気で考えていた時に、ネクサスのサービスが目に留まった【一般社団法人しゃりのいえ 理事長・武藤美江先生にインタビュー】
【法人データ】 園数 3園 /職員数 60名 キャリアパス導入時期 2022年 【インタビューにお答えいただいた方】 一般社団法人しゃりのいえ 理事長 武藤美江先生
2023.8.25
ネクサスでは、一般社団法人しゃりのいえ(以下しゃりっこ)さんへ、キャリアパス設計・運用サポートや職員育成のためのオンライン研修会(CAN-PATH)のご提供をしております。今回は、2022年度に実施しましたキャリアパス設計時のご感想と、しゃりっこ保育園さんの人材育成の考え方についてお話しを伺いました。 【実施・導入実績】 ● キャリアパス設計 ● 保育施設専用人材育成クラウドCAN-PATH ● 園内研修
目次
キャリアパス設計をネクサスに依頼したきっかけ
これまでの年功序列的な保育士のキャリア形成に疑問があったので、年齢だけに捉われないキャリアパスを作りたかった
―― 早速ですが昨年度、ネクサスにキャリアパス設計の依頼をしてくださった背景やきっかけを教えていただけますか? これまでの保育園は”経験年数を重ねれば自動的に職員のキャリアや給与が上がっていく”といった状況で、あまり納得できる仕組みではなかったことがきっかけです。しゃりっこ保育園は比較的若い法人で、所属する職員の法人勤務年数も全体的に浅めではありますが、保育経験年数や実年齢を中心としたキャリアパスを作ってしまったら、若い職員が成長しにくい仕組みになってしまうのでは?と感じていました。私はキャリアに経験年数や実年齢が重要だとはあまり考えておらず、ベテランでも若い職員でも"仕事を頑張ってくれている人"を応援してあげたいと考えています。しかし、職員個々の"頑張った"を園長である私個人の主観だけに頼るわけにもいかず、かと言って何らかの指数に表すのも難しいなと感じていました。そこで何か良い方法はないか…と情報収集をしていた際に、ネクサスさんと接点を持ったと記憶しています。 私は以前に一般企業でも働いていた経験があり、そこでは勤務年数や年齢よりも、成果・結果が出ている人が評価されていたので、若手で処遇の良い人もいれば、ベテランでも処遇の悪い人がいました。他業界を経験しているからこそ、保育業界に多い年功序列的なキャリア形成に疑問を持ち、年齢や経験年数だけに縛られないキャリアパスをしゃりっこ保育園で作りたいと本気で考えていました。
―― なるほど。これまでの保育業界の常識に捉われないキャリアパスを作りたいと考えたことがきっかけだったのですね。
そうです。そのように考えていた時期はインターネットでキャリアパスを作ってくれるところを探していました。しかし、一般企業向けにキャリアパス設計をしてくれる会社はあっても「保育施設向け」に設計してくれるところはなかなか見つからなかったです。やはり保育園のものを作るので、保育施設を良く知ってくれている人に任せたいという気持ちがあり、そんな時に偶然ネクサスさんから案内が届いて、キャリアパス設計がテーマのセミナーに参加して「探していたのはこれだ!」と思ったのが最初の印象です。
―― その時のセミナー担当者が私でしたね(笑)ありがとうございます。その後、ご縁をいただいてキャリアパス設計を一緒に始めましたが、しゃりっこ保育園さんが大切にしている人材育成の考え方を改めて教えていただけますか?
とにかく、仕事が楽しいと思えることですね。ちょっと言い方を変えると「仕事をおもしろがれるか?」ということです。仕事は楽しくないと長く続けられないし、成長できないと私は思っています。仕事をして給与を稼ぐことは生活をする上でもちろん大事なことなのですが、仕事をする目的がそれだけだときっと長くは続かないと私は考えていて、仕事のどの場面・部分でも楽しいな・面白いなと感じられることが、長く続けられ成長していく上で大事なことかなと思っています。
人材育成のパートナーになってくれる期待と確信を持ってネクサスに依頼した
―― ネクサスと一緒にキャリアパスを作ろうと決断した理由はどんなところでしょうか?
現実的な話をすれば"他に保育施設専門にキャリアパス設計を手伝ってくれる会社を探せなかったこと"です!(笑)大前提はそこがきっかけでネクサスさんとコンタクトを取ったのですが、最初に接触してくれたスタッフが話しやすかったというのが次の決め手でした。設計にはもちろん費用がかかるので、できるだけ私がコミュニケーションのとりやすい担当者が良いと思っていました。初めてのZOOMでのコンタクトの時に、自分が知りたかったことや聞きたかったことを何でも教えてくださったり、こちら側のキャリアパスへの想いを聞いてくださったりして、こちらの意図を汲んでくれると感じました。1回目のコンタクトで「もうやりましょう!」という気持ちになり契約したことを記憶しています。
―― 入り口は「保育施設専門のキャリアパス設計」をネクサスがしていたからと言うことですね。 保育施設専門に人材育成関連のICT関連サービスや園内研修を実施している会社さんは他にもたくさんありますよね。例えば職員の人事評価ができるクラウドシステムを販売している会社さんであれば、もちろんクラウドシステムの使い方を教えていただけるのですが、その前段階である「職員たちをどのように評価したら良いか?」や「職員面談でどのような話をしたら良いか?」など、私たちが一番解決したい問題に対してアドバイスやサポートをしていただけるわけではないです。私としては、しゃりっこ保育園の人材育成をどのように進めていくべきか?を一緒に考え、仕組み化してくれるパートナーを探していたので、そのパートナーになってくれるという期待と確信を持ってネクサスさんに依頼しました。 ―― それから約半年間かけてキャリアパスを設計しましたが、設計プロセスの中で印象に残っていることはありますか? 月1回の設計ペースで、定期的にお話しできたことがとても楽しかったです。個人的なことですが、私は話をすることで自分の考えが固まっていくタイプで、一人で悶々と考えていても考えはまとまりにくいんです。今回のキャリアパス設計で初めて園外の方と一緒に仕事をしたのですが、会話をしながらキャリアパス設計を進めていくのが楽しかったですし、自分の考えが明確になっていく感覚がとても心地よかったです。園内の設計メンバーと考えを共有できたことも良かったですね。外部のネクサスさんに入ってもらった事で、メンバー同士も話しやすくなってさらに良かったなと思いました。打ち合わせでは話が盛り上がってくると話が脱線してしまうこともありましたが、しっかり本題に戻して舵取りをしてくれる安心感があり、本当に楽しみながら設計できた記憶しかないです。始めた当初は設計のゴールが私たちは見えていませんでしたが、ネクサスさんがしっかりゴールまで導いてくれたと思っています。毎回、みんなで話を重ねていきながら、知らず知らずのうちにしっかりゴールまで導いてくれた。そんな感覚があったので私は楽しみばかりでした。 ―― 設計を楽しんでいただけて嬉しいです!ですが一方で、大変だったことはありませんか? 次までにこれをやれば確実に進める、という感覚でしたので正直大変だったことはなかったです。先ほども言ったように、何よりみんなで話ができることが楽しみだったので、設計に苦労したという感覚は私にはありませんでした。ただ、契約当初に「半年程度で設計を完了させます」と言われた時は半信半疑でした。結果的にはもちろん設計が完了したのですが(笑)
これから始めるキャリアパス運用の課題
キャリアパスの運用は始めたばかりなので、職員に仕組みを浸透させていくことがこれからの課題
―― 今年度(2023年度)から設計したキャリアパスの運用をスタートしたわけですが、これからどのように進めていこうとお考えですか? 設計した独自のキャリアパスを職員に浸透させていきたいのですが、すぐにはできないので時間をかけて浸透させていかなくてはと考えています。職員もこれまでの常識や通例があるわけですから、出来上がった仕組みへの理解を深めるのに時間がかかるだろうなと思っています。時間をかけて給与体系も含め、これまでの保育業界の常識を良い意味で壊していきたいと考えています。ですから、これからしゃりっこ保育園のキャリアパスへの理解を深めてくれる職員を増やしていくことがこれからの課題ですね。 例えば保育士として、目指したいと思えるキャリアの道をより具体化して、その道に向かって成長するモデルの職員を作ることですね。保育士の方は特に、目で見て分かりやすいモデルケースをたくさん作って上げることが大切かなと思います。 ―― 設計した内容で効果的だと感じる取り組みはありますか? 私たちの園では、職員一人ひとりが個人目標を設定して自己評価を進めていくのですが、その目標に関連した職員面談を実施できたことが非常に有意義でした。面談時期や面談内容もあらかじめ設計の段階で決めていたのでスムーズに実施できましたし、各園の園長からも大変好評でした。これまでの面談のように"何を話すのだろう…"のような不安がお互いになく話ができたので良かったのではないかと思います。 目標設定の仕方も工夫し職員の目標に向かう気持ちが明確に伝わるようになったので、とても良いと感じています。キャリアパス設計で決めた目標の立て方と関わり方のプロセスが良かったのかなと思っています。仕事が楽しめている人、頑張りたいと思っている人をさらに成長させてあげたいので、そういう意味では支援の方向性もわかりやすいと感じています。 コロナが明けて久々の行事もありますが、そういったことも「楽しい」と感じるか、「面倒だ…」と感じるかで仕事のクオリティは確実に変わってくると思います。もちろん楽しんでもらえるように導くのだけれど、楽しもうと思っている職員はどんどんアイデアを出してくれるので、こちらとしては細かく指示をする必要がないので大変助かっていますね。
―― なるほど。先ほども話されていたように「仕事が楽しい」と感じられることを大切にしているのですね。 やはり仕事を楽しむことができていなければ長続きしないですよね。少々他力な考え方ですが、自分から楽しさを見出してもらえると良いですね。そして"育ちたい・成長したいと思っている職員"を支援する・応援することが管理者として大切だと思っています。 正直なところ「私がなんとしてでも職員を育てたい!」とは全く思っていなくて、職員が育ちたいように育って欲しいので、個で育てるというよりは組織全体で育てて、職員の目指す先まで導いてあげられたら良いなと思っています。 ―― 個ではなく組織で育てていくわけですね。なるほど。今後はどのような園に発展していきたいとお考えですか? 新しいことを見出し・実践できる人が成長でき、それに見合った対価を払えるように、これまでの保育園の常識を変えていきたいと思っています。職員が本気でやりたいことをやれる園にしていきたい。職員の気持ちを言葉で伝えてもらいたいから、目標設定や職員面談の機会がとても有意義な時間になるのだと思います。職員は皆それぞれで頑張りたいことや想いがあるので、それを言える風土、受け入れる風土を作りたいと思っています。 ―― どのような園にネクサスのキャリアパス設計サポートがマッチすると思いますか? 比較的若い園でしょうか。 経営者にも柔軟性が必要だと思うので、新しい園で若い園長、これまでの保育園の常識を変えていきたいと考える人に出会ってほしいかなと思います。保育業界も時代に合わせた人材育成の仕組みが必要だと思うので、過去の組織構造をズルズルと引き継いでいる園こそ変えていけると良いのかな?とも思います。 また、保育士の成長(やりがい)を応援します!とホームページ等に打ち出している園は、職員の成長が支援できるキャリアパスの仕組みは必須なのではないでしょうか。私たちの園はこの独自のキャリアパスを全面に押し出して、職員の成長を全力で応援したいと思っています! ―― これからも一緒に頑張りましょう!本日はありがとうございました!
インタビュー担当者談話
今回は一般社団法人しゃりのいえの理事長であり、北国分駅前しゃりっこ保育園の園長である武藤先生にお話を伺いました。しゃりのいえさんのキャリアパス設計にはインタビュアーである私が携わらせていただいたのですが、記事にもあるように打ち合わせも常に笑いの絶えない時間でした。 設計中は先生方の想いを聴き、整理し、形にする。この繰り返しでしたが、皆さん楽しんで参加いただけていたことが印象的です。キャリアパスの浸透にはまだまだ時間がかかるとは思いますが、それすらも「楽しんで」いただき、職員の皆様がさらに成長できる仕組みに定着するよう、これからもサポートを続けていきたいと思います。そして、常に新しい視点で保育業界にあった人材育成の新しいモデルを築き上げて欲しいと思います!
インタビュー担当者:遠藤勇樹