園として目指すところが明確になったので、そこに向かって今日よりも明日、より良い保育をできたら【西大宮青藍保育園 園長・関根裕子先生にインタビュー】

【園データ】 施設数 1園 /職員数 28名
【キャリアパス導入時期】 2023年
【インタビューにお答えいただいた方】園長 関根裕子先生

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【西大宮青藍保育園】は、埼玉県さいたま市にある社会福祉法人藍青会の認可保育園です。
子どもを真ん中に、子どもにとってどうなのかを常に考え、子どもの伸びようとする力を信じて心身の成長をサポートしています。

ネクサスは埼玉県さいたま市の西大宮青藍保育園さんへ、キャリアパス設計・運用サポートのサービスをご提供しています。今回は、2023年度に実施したキャリアパス設計時のご感想とこれから始まる運用に向けての意気込みを伺いました。

【実施・導入実績】
キャリアパス設計

2024.3.12

目次

ネクサスのキャリアパス設計を知ったきっかけ

新規開園から数年経過し、人材育成に力を入れていきたいと考えていたタイミングでオンラインセミナーに参加したことがきっかけ

―― 早速ですが、ネクサスのことは以前からご存知でしたか?

加入している保育団体からのメール案内がきっかけで初めてネクサスさんを知りました。開園から6年が経過して現場も落ち着き、さあ人材育成に本腰を入れていこう!と取り組み始めたタイミングでふと団体のメール案内を見たら”職員の成長段階を見える化する”というテーマのセミナーを発見して「これだっ!」と思いセミナーに参加したことがきっかけです

―― ありがとうございます。セミナーは期待した内容と相違はありませんでしたか?

等級制度をテーマにしたセミナーでしたが、人事評価にも結びつく重要な仕組みだと思って聞いていました。一方で、こういった制度の導入にはネガティブな印象もあるので、正直どうなのだろう?と疑問もありました。しかしセミナーの中で「組織の職員にどのように成長して欲しいのか?を仕組みにする」と言う言葉を聞いて、自分にすごく刺さったことを覚えています。制度がどうとか難しく考えず、どんな職員に成長して欲しいかを考えればいいんだと腑に落ちた記憶があります。”頑張った人にはお金をあげるね”というだけの仕組みではなく、組織としてどのように成長して欲しいか?どんな職員を目指そうか?それを見える化していけば、きっとみんなが同じ方向を向いて保育ができ、もっと保育も職員も成長できると思いました。

人材育成をどのように進めていったら良いか試行錯誤しているところだったので、もっと詳しく話を聞きたいと思い、セミナー後の個別相談にも申し込みました。開園当初は、園としての統一感が薄かった時期もあったように感じていました。もちろんどの職員も一生懸命保育をしてくれていたのですが、園の目指す保育とは少しずれているなと感じる時もあり、なんとなく職員間に溝を感じることもありました。だから法人としてどう育って欲しいのか?の道筋を示してあげられたらと思い、その方法を知りたくて相談しました。

ネクサスと共にキャリアパス設計をしよう!と思った決め手

―― 個別相談では様々な意見交換・情報共有をさせていただき、ネクサスからはキャリアパス設計をご提案いたしました。様々な企業がある中でネクサスを選んでくださった理由はございますか?

知り合いでコンサル会社に依頼して評価制度を作っていたことを聞き、それに携わっていた方から「なんか難しそう」とか「評価項目がとても多いし、結果が点数化されて賞与に紐づくみたい…」と聞いたので、私にとっては評価=評価点のイメージが強く、自分の思い描いているのとは違うかなと思っていました。でも個別相談の時にネクサスさんからは評価の数字の話は出なくて、「評価を通じてどのように職員を育成していくか?や、どのように成長して欲しいか?を考えることが大切だ」というようなお話が聞けて、あぁそうだと共感しました
目指す職員像のお話も聞いて、職員みんなでここを目指そうという方向性を示していくことは、保育目標に向かい子どもたちの保育計画を一生懸命考えるのと一緒だ!と思いました。それならできそう!この考えなら一緒にやっていけそう!自分たちの考えも取り入れてもらえそう!と思ったことが大きかったですね。なので直接別な会社さんと比較したわけでは無いですが、自分が聞いた話とネクサスさんは違うなと思ってお願いしました。

―― ありがとうございます。ご提案させていただいた後、検討いただく中で関根先生が重視されたこと、決め手になったことを教えてください。

決め手になったことは二つあります。
一つはスキルカードです。(*スキルカードとは弊社の設計で使用する保育士の必要能力をカード化したもの)個別相談の際に見せてもらったスキルカードの内容が具体的だったので職員の育成の道筋がイメージできました。どんなスキルが必要なのかをゼロから考えるのは難しいじゃないですか。でもこのカードを基本にして自分たちで肉付けしていくので自分たちの考えも整理されて考えやすかったので、このスキルカードがすごいなと思いました。
もう一つは、どんな質問にも丁寧に的確に答えてくれたことです。答えを濁さないというか本音で話してくれている印象があって。わからないことを何でも聞けるし、私たちの意見も受け止めてくれるような安心感がありました。約1年間一緒に設計していくのに「こんなこと聞いて大丈夫かな」「こんなこと言ったらどう思われるんだろう」なんて不安があったり本音を言いづらかったら苦しいですよね。だから、ネクサスさんなら一緒にいいもの作れそうだなと思ったのが決め手ですね。

―― ありがとうございます。一緒に作る人との相性も重要視されていたということですね。実際に設計をしてみてどう感じましたか?

毎回の打ち合わせが楽しかったです。もし打ち合わせが堅い雰囲気だったら、私たちもあそこまで盛り上がって話し合えなかったと思います。打ち合わせの場で先生たちも意見が活発に出し合えて、わからないことはその場で解消できて、互いの意見の相違も埋められたのは、良い雰囲気を皆で作り出せていたからだなと思います。打ち合わせ後に「あれって実はこう思ってた」とか「本当はこう考えていたのに」みたいなことは一切なくて、みんな「今日の打ち合わせも楽しかった!」ってスッキリした状態で保育室に戻って行っていました(笑)

―― いい打ち合わせの時間になっていたようで、大変良かったです

キャリアパス設計のプロセスと運用に向けて

キャリアパス設計は堅いイメージだったけど、実際の打ち合わせでは活発な話し合いができた

――キャリアパス設計に取り組んだ率直な感想を教えてください

コンサルティングというもの自体が初めてだったので、始める前のイメージは、「保育士とはこうあるべき」「保育園とは」ときっちり指導されるような雰囲気なのかなと思っていたのですが、実際の打ち合わせは人事制度の考え方を教えてもらいつつ、「うちの園ではどう思うか」をたくさん聞いてくれて、気軽に話せる雰囲気だったので、うちの設計メンバーの先生たちもうるさいくらい盛り上がってました(笑)
最初、設計メンバーの先生方は打ち合わせに携わるのに抵抗があるかなと不安に思ってたんですけど、実際やってみるとみんな楽しそうで、「もっとこうしたいね」「もっとああしたいね」「みんなで成長したいね」というのが共有できて良かったです。本当はもっと堅い打ち合わせをイメージしてて…ダメ出しされたり、これまで何やってたんだって呆れられたりするのでは?と不安もありましたが全然そんなことはなく。良い意味で思っていた打ち合わせと違いました。

―― 最初はそのようなイメージを持たれていたのですね。確かに制度設計は難しそう、めんどくさそうというようなイメージを持たれがちです。しかしそういったことをわかりやすく伝えるのが私たちの強みだと思っているので、そう感じていただけたのはうれしいです!

適度な問いかけ質問ですごく引き出してくれました。そのおかげで、思いもよらないアイデアが私たちの中から出てきたり、今まで考えてきたことなかったけどこういうことも確かに必要だよねとか、次から次へとみんなから意見が出ました。普段の園内の打ち合わせではあそこまで活発な話し合いはなかなかできていないので、ヒントを頂けてそれを膨らませることができたから、良い意見がたくさん出たんじゃないかなと思います。

―― 設計メンバーの先生方の反応はいかがでしたか?

最初は、「私たち参加しちゃっていいんですか」「こんな責任重大なこと私たちが決めていいんですか」と不安に思っていたようなんですが、途中から「これ出来上がったらいいのができるよね」「面談についてもっと勉強しようかな」「自分のコミュニケーションスキルをアップさせたいな」という意識が高まってきたようで前向きに取り組んでくれています。私たちの園では、園長や主任はこれまでも運営側として人材育成や園全体をどうしていくかを考える立場でしたが、副主任はクラスも持っているしプレイヤーの面が大きい役割でした。そんな副主任がこの打ち合わせの回を重ねるうちに、運営側の意識を持ってくれるようになったと感じます。改めて副主任の役割を自覚して広い視野で動いてくれるようになりました。

―― 運用をしていく上で、制度のことを理解している職員さんが多いのは重要です。人事制度やキャリアパスは現場の保育士さんには馴染みのないものだと思うので、打ち合わせを通して前向きに捉えていただけたことで、これから現場に浸透させていくのに心強い味方ですね。

見える化した目指すところに向かって、今日より明日、より良い保育ができる専門家集団を目指したい


―― キャリアパス設計に取り組んでみて良かったと思うことを教えてください。

良かったことは、漠然としていたものが形になっていったことですね。園内ではこれまでも、「良い保育がしたい」「質の高い保育を目指したい」という言葉は使っていましたが、何だかふんわりしていて、きっとそれぞれが思う質の高さは違っていたし、よく使う「主体的な保育」という言葉もおそらく想像しているものが違っていたりしたと思いますだけどキャリアパスを作っていくうちにそういうぼんやりしていたものが形になっていって、私たちの目指すところは”ここ”だよねというのが見える化・言語化できました
あとは、制度を作る中で設計メンバー間のコミュニケーションがよく取れるようになったことです。2時間の打ち合わせの中で話し合いが活発にできて、意見交換がこれまでよりスムーズにできるようになりました。今までも「何でも意見を言ってね!」と声はかけてきたんですけど、やはり職員からすると少し遠慮があったのだと思います。でもこの打ち合わせを重ねてだんだんその垣根がなくなったというか、自分の率直な意見を言っても良いんだ、と安心して発言できる場所になったと感じています。

―― 完成したキャリアパスを運用していくことで、どのような園にしていきたいと考えていますか?

まずは目指す職員像を意識してみんなで同じ方向を向いて保育していきたいです。いろんな経験を積んできて自分の保育観がある職員にも、「うちの園ではこの道筋でこれを目指そう!」というのを理解してほしいし、いきなり高いところを目指して負担に感じるのではなくて、前向きに捉えてもらって、今日より明日、明日より明後日、少しでも良い保育ができるような専門家集団になっていけたら良いなと思っています。

―― 今日より明日。良い保育をみんなで日々積み重ねていきたいということですね。そんな園にしていくにあたって、運用に対する期待や課題はありますか?

期待としては、みんなが意識高く目指すところに向かってそれぞれの歩幅で進んでいくこと、課題としてはこれをうまく活用できるかの不安がありますね。園を良くするために作った制度ですが、私たちが評価するのも職員が評価されるのも初めてなので、思いがすれ違って違う方向にいかないようにコミュニケーションをしっかり取っていきたいなと思っています。

―― キャリアパスの運用に向けた意気込みを教えてください!

これから運用を始めるのでもちろん不安もあるのですが、私個人としては楽しみの方が大きいです。これまでもみんなで同じ方向を向いてやってきましたが、その目指すところがより明確になったので、それを目指してみんなでより良い保育ができたら嬉しいなと思っています。ですから評価もあまりマイナスに捉えず、お互いをよく知るコミュニケーションのきっかけだと思って前向きにやっていきたいです。運用の1年目は準備運動期間だと思っているので、制度を活かしてお互いに育成し合えるよう、お互いのことをよく知っていこうという気持ちでいます。
長期的には、私たちの園はこのような制度を導入して、職員をこのように育成しました!という事例も作っていきたいです。西大宮青藍保育園とは、こういうところを目指して人材育成にも力を入れている、こういう園なんですよということを打ち出していきたいなと思っています。

―― まずは始めてみないとわからないことも多いですよね。設計が完成したら終わりではなくこれからが本番だと思っているので、園内で運用に前向きに取り組んでいただけるよう、引き続きサポートさせていただきます!

西大宮青藍保育園さんの人材育成に対する考え

―― キャリアパス設計は”園内の人材育成により力を入れるため”導入していただきました。関根先生の人材育成に対する考えを教えていただけますか?

私は、人材育成は一方通行じゃなくて双方向でありたいと思っています。人材育成は職員を指導して「育ててあげる」のではなく、関わる私たち自身も成長したいし成長させてもらう機会じゃないかなと。だから一方的ではなく、一緒に成長するということを大事にしたいと思っています。
例えば、保育園では毎年実習生を受け入れていますが、正直実習生の受け入れは保育現場にとって決して楽な仕事ではありません。それでも、そこから就職につながることもあるし、自分たちも実習で教えてもらってきているし、これからを担う子たちを育てなきゃという気持ちでどの保育園さんも受け入れていると思います。だけど、私たちはもう一つ目的があって受け入れをしています。それは教えることが今いる職員の成長にもつながると考えているからです。私たちの園のことも保育現場のことも知らない実習生に教えるためには、自分の知識ややり方を一方的に伝えるだけではなく、その人が理解できるようにアウトプットしなきゃいけないし、相手の気持ちにも寄り添っていかなければいけないんです。それって、相手のためであるようで自分も実は勉強になっているはずなんですよね。その目的のためにも、私たちは実習生の受け入れも新卒採用も積極的に取り組んでいます。

―― 教わる側も教える側も互いに成長するという人材育成のポリシーが一貫しているんですね。その人材育成の考え方はとても共感できます。私たちもコンサルティングを行う際に知識や方法を伝える立場ですが、一方的に我々の考えや手法を押し付けるのではなく、園さんの考えや大切にしていることをお聞きしながら、一緒に作り上げていくことをモットーとしているので、保育のことや園さんのことは教えていただくことが多いです。それによって新たな視点やアイデアに気づきをいただくこともあるんですよね。私たち自身も多くの保育施設さまの制度設計を通して成長させていただいていると感じています。

保育施設にキャリアパスが必要だと思う理由

―― キャリアパス設計を終えてみて、キャリアパス制度はどんな保育施設に向いていると思いますか?

開園して間もない新しい園やうちのような若い職員が多いような園にあるといいと思います。いろんな経験を持った職員が集まる新しい園やまだ保育の経験が浅い職員が多い場合は、目指すべきところが見えないとそれぞれの感覚で仕事をするしかなくて、結果、園の保育がバラバラになってしまうこともある思います。だから初めにこそ、こういう制度を入れて「私たちみんなでここを目指そう」と示すことが必要だなと思います。
でも一方で、ベテラン職員の多い歴史のある園さんでも、スキルがしっかり身についている先生にこそ「あなたにはこういうことを期待しているよ」「こういう役割を担ってほしいよ」というのを園として伝えて、園が目指すものを再認識してもらうのは大切ですよね。

―― 人事制度やキャリアパスはこれまで保育業界にあまり馴染みのない制度だったと思います。これまでこういった制度がなくてもうまく回っていたのに、なぜ今こういった制度が必要とされているのだと考えますか?

保育所保育指針も改訂を重ねてきているように、社会や保護者や子どもたちも変化していて、昔はこれでいいとされてきたというものが今もそのままでいいというわけではなくなったのだと思います。私たちもその変化に対応していかなければならないですよね。
保育でも、私が保育士になりたての頃と子どもの姿が変化していると感じます。これから多様性の社会に生きていかなければならない子どもたちに、成長を促し変化をもたらしたいなら、私たち大人自身が変わらなくちゃいけないですよね。その時に個人の感覚や経験だけではダメで、園にはこういう等級制度があって、目指すところはどこで、自分は今そのうちのどこに位置しているのか、次はどうステップアップしていくのか、というのが客観的に見えていないと変われないと思います。だから先生たちが自分の成長や変化を意識するためにも必要なのだと思います。

―― 時代が変化をしてきたから、保育園も変わっていかないといけないということですね。設計したキャリアパス制度が、西大宮青藍保育園の職員さんにとって、成長実感や仕事への充実感を高めるために一役買えたら嬉しいなと思います!今回はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!

インタビュー担当者談話

今回は社会福祉法人藍青会 西大宮青藍保育園の関根園長にお話を伺いました。関根園長は何事にもとても前向きで、”何より職員さんのことをとても大切に考えている”そのような印象を強く受けました。園をもっとより良い園にしたい・職員の成長を支援してあげたい、そのような強い向上心と職員さんを想う心が、今回ご一緒にキャリアパス設計をすることができた1番の理由だと感じています。

設計時の打ち合わせで印象に残っているのは、皆さんの意見が活発に出ていたことです。皆さんが前向きに参加していただき、ご自身の考えを話しやすい空間を皆さんが作ってくださったのだと思います。だからこそ今回“西大宮青藍保育園独自”のキャリアパスが完成できました。園長先生をはじめ、業務の合間をぬって設計に携わっていただいた先生方、本当にありがとうございました。

運用は今年度が1年目。
職員の皆さまが仕事を楽しみ、時には壁に直面しながらも共に高め合い、より良いチームになっていくために、このキャリアパスが活用されるよう今後もサポートをさせていただきます。今回は貴重なお話をいただきありがとうございました。

インタビュー担当者:遠藤勇樹

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